環境配慮技術・商品開発

環境配慮設計

新商品の開発や既存製品の改良に際し、ライフサイクルの各段階において商品が環境に与える影響を評価し、環境性能の向上を図っています。当社では「環境配慮設計指針」に基づき、「省エネルギー性」「環境負荷の軽減」「資源循環」の観点から設計することで、LCA※1などの評価確認を通じて、商品開発の環境配慮化を進めています。環境配慮型スチールドア「SGD」は「軽量化」と「接着工法」を採用することで使用する電力や鋼板の削減につながり、ドア1枚※2当たり約35kg相当のCO2削減を実現しました。また、当社の電動商品は、開閉時に作動する以外の待機電力を抑えることで大幅な省エネルギー化につながることから、窓シャッター用の開閉機を省エネ型に改良し、待機電力を従来型より80%削減しました。すでに窓シャッター部門では50%以上が省エネ型の開閉機を採用しており、今後は他製品分野においても待機電力の省力化を進める予定です。
※1 LCA(ライフサイクルアセスメント):製品のライフサイクルにおける環境負荷を定量的に評価する手法
※2 ドアサイズW850×H2,000mm、当社従来製品比
環境配慮商品の評価項目
1)CO2排出量削減設計
商品の生産・使用に伴うCO2の排出を削減するため、商品製造にかかるエネルギーの低減や、使用時の省エネルギー化のための性能を追求した設計。
2)3R化設計
資源循環のため3R(リデュース、リユース、リサイクル)を考慮し、リサイクルのしやすさに配慮した設計、商品を長く使用できる高耐久性設計およびメンテナンス性を向上させた設計。
3)有害物質削減設計
生産時、使用時、廃棄時に人の健康や環境に負担がかかる有害物質を削減したり、適切に管理できるようにする設計。
CO2削減計画におけるLCA
商品のライフサイクルにおいて、段階ごとのCO2排出量から製品の生涯CO2排出量を算定する取り組みを推し進めています。
LCA
VOICE
ライフイン環境防災研究所
係長
岩田 保

商品開発における環境配慮設計の構築当初は、他社事例もまだ少ない時代で、評価方法や仕組みづくりを手探りで行うなど、いろいろと困難を極めたこともありました。時代の要請に応じ、改良や内容の充実化を図るにしたがい、BXグループ独自の環境配慮設計評価のシステムが確立されつつあります。また、商品開発担当者の環境配慮設計への意識も進んできたと感じられ、設計評価を構築してきた担当者としてうれしく思います。今年度は事業の脱炭素化を視野に、CO2排出量削減設計におけるLCAを更新する予定です。設計評価を通じて脱炭素化への意識づけを向上させ、さらには脱炭素化に寄与する商品づくりが加速することを期待しています。今後も評価内容をより使いやすく、時代に即したものにすべく改良に努めていきます。

気候変動の緩和ソリューションの拡充

BXグループのエコ事業とは、CO2の排出や、森林の破壊、プラスチックごみの問題などといった温暖化の原因となる問題に対し、環境負荷低減やサーキュラーエコノミーの実現、森林保護などをめざしたソリューションを展開することで、地球温暖化の緩和に取り組むものです。
循環型社会の実現に貢献する100%リサイクル可能な木材・プラスチック再生複合材「テクモク」や、日差しを調整し、屋外と室内に快適な空間を創り出すことで高い省エネ効果と体感温度を下げる暑熱対策として注目を集めるBXテンパルのオーニングは、当社グループを代表する環境配慮型商品であり、温暖化の緩和に貢献する緩和ソリューションです。
さらに当社グループでは、遮熱性・断熱性を高めることで使用エネルギーの効率を高め、省エネに貢献する「遮熱事業」を開始しました。
屋内用遮熱シート「はるクール」は輻射熱(放射熱)を97%カットして室温上昇を抑える遮熱シートです。輻射熱を反射することで建物内の温度上昇を抑え、熱中症の予防や荷物へのダメージを軽減し、工場や物流倉庫など産業施設の温度管理、環境改善に貢献します。
ソラカゼ
BXテンパル スライドキャンバス「ソラカゼ」
はるクール
屋内用遮熱シート「はるクール」

気候変動の適応ソリューションの拡充

BXグループは創業以来、建具を通じ、人の命と暮らしを守るさまざまな防災ソリューションを提案してきました。
近年は地球温暖化が進行し、さまざまな悪影響による損害や被害が重大な社会問題となっており、いざという時の日頃の備えが特に重要視されています。BXグループでは、気候変動によって発生する大規模自然災害に対し、損害・被害を最小限に抑える「適応ソリューション」の拡充を図っています。
都市型水害から都市機能を守る「止水マスターシリーズ」
短時間豪雨の増加により、河川の氾濫や下水道の内水氾濫による被害が深刻化しています。浸水被害は復旧に費用と時間がかかるだけでなく、都市機能をストップさせ、経済的にも大きな損失となります。
文化シヤッターでは、さまざまな場所や用途に応じた止水商品を「止水マスターシリーズ」として展開し、拡充を図っています。災害時には防災インフラとしての機能も期待される交通インフラ設備へのBCP(事業継続計画)を支援するほか、施設運営の無人化に対応した浮力起伏式の止水板や、「簡単・スピーディー」をコンセプトとしたシニア世代や女性一人でも持ち運べ、簡単に設置できるタイプの止水シートなど、いざという時に即応できる止水商品をラインアップしています。
今後は日本国内はもとより、モンスーンアジアに位置する国々の防災・減災への貢献も視野に、災害に強いまちづくりの構築をめざし、浸水に対するレジリエンスを高める自助の備えを支援していきます。
アクアフロート
浮力起伏式止水板「アクアフロート」設置イメージ
強風や突風から大切な資産を守る「ウインドブロックシリーズ」
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書では、台風の将来変化について、世界各国各機関におけるシミュレーションの平均的な結果から、地球の気温上昇に対して台風の平均強度が増加することを報告しています。
当社では、激甚化が予想される台風による強風や突風に備えるため「ウインドブロックシリーズ」において、重量シャッター、オーバースライディングドア、住宅用窓シャッターで高耐風圧性能を確保した商品をラインアップしています。
特に大型物流倉庫の増加により需要が増している重量シャッターでは、基準風速が国内最大となる沖縄全域を想定した業界最高レベルの性能を実現しており、暴風対策の面から企業のBCP対策を支援します。

自然と共生する社会の実現をめざしたソリューション

木造建築は、木材が炭素を貯蔵することや、鉄筋コンクリート造等と比べ材料製造時の環境負荷が少ないことから、カーボンニュートラルへの貢献が期待されています。
BXカネシンは、木造建築の建築金物や建築用資材の製造・販売を通じ、木造建築の普及を促進しており、中でもMP木造建築の製品・技術開発に注力しています。2021年8月に発売した「MPねじ接合システム」は、BXカネシンとして初めて木造トラスに着目した製品です。トラスは三角形を単位として構成される構造形式のことで、「MPねじ接合システム」は、ビスとボルト、プレート金物で木造トラスを構成します。製作金物や専用の補強金物を使用せず、幅12m程度の無柱空間を実現するため、倉庫や畜舎など、中規模建築の木造化に最適です。
MPねじ接合システム
MPねじ接合システム
トラス構造のイメージ
カーボンニュートラルの実現には「伐って、使って、植える」という森林資源の循環利用の推進が必要であることから、2021年10月に法改正された「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」においては脱炭素社会の実現に向け、公共建築物だけでなく民間建築物も木造・木質化促進の対象となっています。
BXカネシンはMP木造建築の製品・技術開発を通じて、拡がりをみせる建築物の木造化や木材利用に貢献し、自然と共生する社会の実現をめざします。
※MP=Multi Purpose(多目的)の頭文字。BXカネシンは、これまで〈非住宅〉や〈中・大規模〉と呼称されてきた木造建築を新しく「MP木造建築」と統一しています。