トップメッセージ

快適環境の追求により社会との価値共創に取り組み、
持続的に成長する企業へ

代表取締役社長 執行役員社長
BXグループは2006年にスタートした10年の経営展望において、「快適環境のソリューショングループ」を当社グループがめざす姿として長期ビジョンに掲げました。以来、快適環境を社会に提供し続けることを使命に、時代に応じた多彩なものづくりを愚直に続けてきました。
当社グループの商品・サービスを通じて、将来世代にわたって健全な地球環境のもとで安心・安全、そして快適に暮らし続けることができる社会をめざし、人と地球の快適環境を追求することが当社グループのあるべき姿です。
中期経営計画の進捗
2021年度にスタートした中期経営計画は、快適環境を追求することで急激に変化する社会環境に主体的に対応し、未来志向で事業の発展に取り組む3ヶ年の事業計画です。
2年目となる2022年度はロシアのウクライナ侵攻に起因するエネルギー不足や原燃料の価格高騰、インフラや銀行破綻など、コロナ終息を待たずして起こるさまざまな予期せぬ社会変化に対し、迅速な対応力が問われる年となりました。特に原材料の価格高騰や世界的な半導体不足は、当社のサプライチェーンも大きく影響を受け、さらなる強靭化への教訓となりました。
一方で事業環境を振り返りますと、物流倉庫や生産工場等の大型物件の増加や、都市再開発プロジェクトへの投資拡大により、市場が好調に推移したことで基幹事業のシャッター・ドアで売上を伸ばしました。注力事業においては、脱炭素化への移行や気候変動によって甚大化する自然災害への備えとして、エコ&防災事業が確実に成長しています。
温暖化対策や防災は世界共通で取り組むべき喫緊の課題です。事業活動でこの難題の解決に最大限貢献するために、遮熱性や断熱性、また止水性能の向上をはじめ、エコ&防災分野における新たな価値創出にも引き続き取り組んでいきたいと考えています。
海外事業においては、BX BUNKA AUSTRALIAにおいてM&Aを進め、住宅市場だけでなく、産業・商業施設市場向けの商材を拡充する体制を整えました。中期経営計画においては海外事業の売上構成比10%を掲げており、特に成長が期待できるオーストラリアにおいては、シナジー効果により収益を拡大させたいと考えています。
2022年度の連結経営成績は、2期連続の増収で過去最高の売上高となり、前中期経営計画における「成長戦略の構築」を基本方針とした収益基盤と成長基盤の2軸による事業区分の整理が機能し、成長モデルが確立したことに手ごたえを感じています。しかし、先行き不透明な社会において決して楽観視できる結果とは考えていません。今後も原価高騰の流れは続くものと捉えており、適正な価格改定を進めるほか、生産設備刷新のための投資を実施し、生産性向上に向けた改革を進めているところです。
その一例として、当社では運送会社と各工場が情報を共有する新物流システムの順次導入を進めており、物流の効率化を図っています。さらに営業、製造、施工が情報を共有しながら連携することでリードタイムを短縮できる基幹システムを構築し、業務効率化をめざしたDX化を進めています。このように「Speed&Action」を合言葉とした対応力のある組織づくりに注力し、社内の改革をさらに推し進め、より一層実行力を高めることで、中期経営計画の最終年度となる2023年度は、売上成長を超える利益成長を果たす結果に期待を寄せています。
人材の融合が生む技術革新
社是・経営理念を共有した人材は、当社グループにとって大切な資産です。志を共にした従業員一人ひとりの人材力の総和によって事業基盤が強化されることは言うまでもありません。企業理念にも掲げている積極性と和を重んじる文化が着実に受け継がれており、特に社長に就任してからは、従業員同士が、積極性を重んじながら和を以て協力する精神を持つことの大切さを私自身も感じています。「人を大切にする会社」を実践することは、歴代社長から受け継いだ私の使命の一つです。人材を資本と捉え、その価値を最大化することによって企業成長へとつなげる人的資本の考えが、今、主流になっていますが、「人を大切にする」考えに通じるものであると私は解釈しています。
当社では、従業員一人ひとりがライフスタイルに合わせ、個性や能力を発揮できる環境づくりや、ダイバーシティ&インクルージョンを推進していますが、考え方や価値観の異なる人材が融合することで新たな価値が生まれ、BXならではの技術革新を実現すること、これが、当社グループがダイバーシティを推し進める理由です。事業領域に限らず、さまざまな専門性やスキル、経験を持つ人材の融合が、当社グループのソリューション力を高め、新たな価値創造の原動力になると考えています。
BXグループと社会のサステナビリティをめざして
社会の持続可能性を高めるための施策は、当社グループの事業リスクを回避し、また持続的な企業成長を促すものです。当社では、中期経営計画においてESGの目標を定め、取り組みを強化することで将来的、潜在的なリスクと機会を見極め、経営のレジリエンス向上をめざしています。
BXグループ環境ビジョン「Blue neXpand 2050~未来にひろげよう青空を~」では、快適環境のソリューショングループとしてめざす未来の姿と、それを実現するために取り組むべき重点領域を明確にし、脱炭素化への移行や廃棄物ゼロをめざしたゼロエミッション、生態系の保全等に取り組んでいます。
特に気候変動については、事業活動や生産プロセスを含め、当社の商品・サービスの提供を通じた温暖化防止や自然災害のリスク軽減に注力しており、2022年度はスチールドアの組立に接着工法を採用した環境配慮型スチールドア「SGD」の販売を開始しました。接着工法は環境にやさしく溶接時の作業環境が改善されるだけでなく、作業時間の短縮や、鋼材の軽量化も可能にし、多くの課題解決にアプローチする工法です。当社は日本サッシ協会と協力し、この接着工法を国土交通省監修の「公共建築工事標準仕様書」に追加記載することに尽力しました。さらにスチールドア業界全体が抱える課題の解決につながるこの工法を業界全体に浸透させることを目的に、全国の中小ドアメーカーに赴き、接着工法の指導・教育にも取り組んでいます。
スチールドアをご使用下さるお客様のみならず、生産者や運送従事者、さらには地球環境などさまざまな場面での「快適環境」を実現するこの接着工法の拡販によって、当社としても収益を拡大させたいと考えています。これは当社の快適環境への追求によって生まれた社会との価値共創の一例です。今後も社会との価値共創に取り組み、持続的に成長する企業へ歩みを進めてまいります。
ステークホルダーの皆様へ
私が全国の拠点に赴いた際には、「未来を創るのは今の自分」と因果の道理を引用して従業員に話をするようにしています。人材力の総和を上回る相乗効果は、当社グループのパーパスに自らの未来を重ね、未来志向で仕事をする従業員の主体的行動によって生まれるものだと思っています。志を共にする従業員と、BXグループの未来に向け邁進する所存です。「人と地球の快適環境」を実現する、この当社のパーパスに賛同してくださるステークホルダーの皆様のご期待に沿えるよう、今後も持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでまいります。