CSR情報
トップコミットメント
不確実な社会を持続可能な未来へ
新しい「技術のBUNKA」を再創造する
時代、環境の変化が急速に広まり、私たちの社会や暮らしが大きく変わろうとしています。
急速に進むデジタル化により、あらゆるモノとシステムがつながり合う社会が現実となりつつあります。
今まで困難だったことを可能にする新しい価値が次々と生まれる一方で、頻発する大規模自然災害による甚大な被害は経済的・社会的に大きな影響をもたらすなど、飛躍的な進歩が期待される反面、予期せぬリスクにも脅かされています。
このような不確実性が増す社会において、「快適環境ソリューショングループ」をめざす私たちBXグループは、人々が快適で安心に暮らせる持続可能な社会・環境づくりに何をもって貢献できるのか、企業の“レジリエンス”が問われているように思います。
文化シヤッター株式会社 代表取締役社長
■創業当初から受け継ぐ課題解決の歴史
BXグループには「一つの会社が発展するか否かは、その会社の信用度合いによる」という創業者の言葉に基づき、社是に掲げられた「奉仕」の心が今もなお受け継がれています。創業まもなく業界に先駆けて開始したアフターサービス制度は、お客様のあらゆる生活シーンを想定した当社グループのご提供する製品を、「安心」「安全」に末永くご使用いただくことでお客様と永続的な信頼関係を構築する「ライフ・イン」「ライフロング・パートナーシップ」の原点でもあります。その後も建材の役割を限定することなく、防犯、防風、防火、防煙、止水、そして環境配慮やユニバーサルデザインなど、その時代における果たすべき役割を追求し、総合建材メーカーとして社会と向き合ってきました。
当社グループは創業65年目を迎えますが、このような社会の要請にお応えするための弛まぬ挑戦と革新が、今日までの当社グループの成長を支えてきた歴史があります。
お客様のお困りごとを自社事業において解決することで、誰もが安心して暮らすことのできる快適環境の実現をめざし「快適環境ソリューショングループ」として進化し続ける今の姿があるのです。
このようなCSR経営から始まった企業文化は、持続可能な社会の構築をめざし政府が提言するさまざまな施策や、世界で取り組みが広がる「持続可能な開発目標(SDGs)」の考えにも自然とマッチするものであり、今後環境の変化にかかわらず、脈々と受け継がれるべき揺るぎない理念となっています。
■BX-CSVで持続可能な社会の構築と企業の成長・発展の両立を実現
時代の課題に真摯に向き合うソリューションへの挑戦と革新の歴史は、BXグループの技術力に磨きをかけ、市場から「技術の文化」と評価いただくように、さまざまな価値創造ストーリーを紡ぎ出してきました。このBX独自のCSV(社会と共有できる価値の創造)「BX-CSV」は当社グループの成長モデルであり、新しい価値を時代に先駆け提案することが競争優位を確保する当社グループの強みだと考えています。しかしながら不確実性が増す現代において、いかなる社会・環境の変化にも柔軟に適応し、企業として成長し続けるためには、より強固な基盤となるBX-CSVを実現する「技術力」を再創造する必要があると考えています。当社グループがめざす「技術力」とは、テクニカルな商品に関わる分野に限ったことでは決してありません。お客様につながる全てのバリューチェーンにおいて、長い時間を掛けて積み上げてきた経験と実績に基づき得た技の集積を、時代の変化に応じて社会や企業の発展に活用できなければ意味がありません。新しい「技術のBUNKA」の創造には、これまでの経験や知識を、常識にとらわれることなく今の時代に呼応した形へと「変換」させるイノベーション的発想が必要です。2016年にスタートした中期経営計画では、多様化する社会において、誰もが快適で安心な環境で生活するためのソリューションを当社グループの総合的な「技術力」で提案し、課題解決に取り組む「社会への貢献」を通じて「グループとしての成長・発展」を遂げる姿を「ポスト2020VISION」として位置づけました。
「ポスト2020VISION」とは、社会情勢をよく“看て”タイムリーな“ことづくり”を実践するメーカーの域を超えた総合コンサルティング力で、「快適環境ソリューショングループ」のさらなる進化をめざすあるべき姿です。当社グループの代表的なBX-CSVの事例に、災害対策ソリューションの一つである止水事業があります。集中豪雨や大型台風が頻発し、浸水被害による社会的・経済的影響が深刻化する中、これまで主に大型施設のBCP対策として提案してきた止水関連製品をさらに深掘りし、多様な設置場所と用途に応じ、新たに「誰でも・簡単に・素早く」をコンセプトとした止水ソリューションの提供を2015年に開始、簡易型止水ソリューションという概念で注目を浴びました。その後、止水機能を発揮しながら人の出入りを可能にする止水板や、簡単な操作で止水機能を発揮する建材ソリューションの提供をはじめ、今後の社会情勢を見据え、施設管理の無人化やIoT化に対応するソリューションの開発にも注力しています。
当社グループは「エコと防災」を事業テーマとしていますが、これは「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が分析評価を進める気候変動への「緩和と適応」に対する、事業を通じたアプローチでもあります。地球温暖化につきましては、パリ協定の2℃目標達成に向け環境負荷の軽減にグループ全体で取り組んできましたが、同時に上記事例のように気候変動による社会的・経済的影響を最小限に抑えるためのソリューション展開にも注力しており、地球温暖化対策と気候変動適応の両輪で社会に貢献することをめざしています。
これまでに培った課題解決の経験と技術を武器に、当社グループを次のステージへと導く新しい「技術のBUNKA」を再創造し、成長の基盤となるBX-CSVモデルをさらに追求することが、不確実性を持続可能性へと導く鍵になると考えています。
■BXグループの価値創造と成長戦略
BXグループでは、持続可能な社会の構築に貢献する価値創造の分野を下の図の5つ(BXグループの価値創造分野)に整備して注力しています。
特に「エコと防災」分野は社会的重要度が高く、優先して取り組むべき事業テーマです。エコ分野では環境配慮技術の開発や製品・サービスの提供に努め、2018年度には環境配慮製品の主力である木材・プラスチック再生複合材「テクモク」のさらなる事業発展と拡充をめざし、原材料を生産する株式会社エコウッドを新たにグループに迎えました。防災分野では、止水事業のさらなる拡充のため、お客様へ総合的に提案する「止水マスターシリーズ」として止水ソリューションをシリーズ化するほか、新製品の開発にも積極的に取り組み、新たに止水板付き重量シャッター「アクアボトム」および止水パネルシャッター「アクアフラット」の販売を開始しました。
その他ご使用者視点で機能を追求した福祉施設向けのユニバーサルデザインソリューションの拡充や、防火設備等の法制化に伴う検査体制の強化など、今後もこの価値創造分野を拡大することで、社会課題解決の領域を広げ、中長期的な企業価値の向上を図っていきます。
そして新しい価値創造を実現するための戦略として、大きく2つの施策を掲げています。
一つ目は、グループの総合力を強化し、生活提案型の企業体となることです。マーケットインの発想をさらに進化させ、お客様のライフスタイル全般を捉えた視点で製品やサービスを提供する「ライフ・イン」と、提供した製品・サービスを末永くご使用いただきお客様との永続的な信頼関係を構築する「ライフロング・パートナーシップ」の2つのコンセプトをもとに当社グループのシナジー効果を発揮しながら、BX独自のBX-CSVの実現をめざします。
二つ目は、当社グループの将来を形づくるのに源泉となる従業員一人ひとりの働きやすさを追求した働き方の革新と、変化を恐れず適応、進化する人財集団の形成です。イノベーション的発想には、さまざまな可能性を想定して変化を先読みする思考が必要です。幅広い視野で物事をよく“看て”積極的に働きかける「人財」たる従業員が起こす身近なイノベーションもまた「技術力」です。
少子高齢化と労働力不足により建設業界全体が担い手不足に陥っている中、2018年度はそのような人財の育成をめざし、新たに「文化シヤッター 設計施工 理念と行動」を制定し、施工力の革新を図っています。これはお客様の最も近くにいる技術者である施工員のあるべき姿を明確にしたものです。共有した理念のもと、あるべき具体的イメージを持った従業員一人ひとりが、顕在化した課題はもとより潜在的な課題に対しても自らアプローチする思考力と行動力を身につけること。人財集団の行動力が新しい価値の創造につながることを期待しています。
■中期経営計画
2016年に5カ年を見据えスタートした中期経営計画では、BXグループを取り巻く市場の大きな変化が予測される2020年までに成長基盤を確立させることをめざし、事業ポートフォリオの最適化を図り、グループの事業を基盤事業と注力事業に整備しました。
創業当初より当社グループの成長を支えてきたシャッター・ドア事業を基幹事業とし、成長基盤の強化に取り組んでいます。そしてエコ・防災事業、ロングライフ事業、メンテナンス事業、特殊建材事業、海外事業などその他今後の発展を担う事業を注力事業として位置づけ、2020年までにセグメントの売上比率3割まで成長させます。
中期経営計画4年目にあたる2019年度は、“To the next stage”を経営方針として掲げ、多様な価値観が共存するライフスタイルに対応する、知識と経験を掛け合わせた総合コンサルティング力をさらに進化させるため、全バリューチェーンにおける「技術力の再創造」と「施工力の強化」に注力します。
また、海外事業においては、これまでベトナムを中心に東南アジアを内需と捉えて事業を展開してきましたが、2018年3月にBX BUNKA AUSTRALIA PTY LTD(オーストラリア連邦クイーンズランド州)を設立し、その事業領域をオーストラリアにまで広げました。これにより今後はベトナムおよびオーストラリア市場を中心として、さらなるグローバル化を積極的に推進していきます。
■ESG・SDGsへの取り組み
いまや企業の成長にESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みは不可欠であり、日本国内のESG投資額は232兆円を超えました。また2015年度に国連で採択され、2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットを掲げた「持続可能な開発目標(SDGs)」は世界で取り組みが進んでおり、目標達成に向けた企業の取り組みがマーケットでも評価されるようになりました。経済界に起こったこのようなパラダイムシフトに、BXグループとしてどう対応すべきか、CSR委員会を中心に議論を重ねているところです。
当社グループのCSR活動は2007年にスタート、社是・経営理念に基づき掲げた「成長と共に」「社会と共に」「地球と共に」「働く仲間と共に」の4つの憲章からなるCSR憲章をガイドラインとして、取り組みを推進しています。4憲章それぞれに設定された行動指針は、当社グループが取り組むべき重点課題を整備するためのインデックスであり、持続可能な社会の構築に向け地道に歩みを進めてきました。この独自のガイドラインであるCSR憲章は、ESGへの考え方そのものであり、またSDGsがめざす「誰一人取り残さない社会」とも理念を共にすることから、これらを意識したより広い視野での課題設定は、当社グループが社会において果たすべき役割をより明確にします。
そこで4憲章委員長を中心としたメンバーで発足したBX-SDGs委員会では、当社グループが特に重視すべき重点課題を特定することで、多様化する社会からの期待や要請に確実にお応えするために、ESGやSDGsとの対照や外部評価項目および各ガイドライン等を参考にしながら、バリューチェーン全体における社会課題を抽出し、憲章ごとに当社グループが取り組むべき重点課題*を設定しました。
引き続き同委員会において、重点課題ごとの具体的目標と評価指標(KPI)の設定をめざし議論を進める予定です。活動の進捗を定量的に効果測定し、PDCAサイクルを運用することで着実に推進していきます。
■従業員の幸福度アップでエクセレントカンパニーをめざす
社長として私に課せられた最大のミッションは、ステークホルダーの皆様と従業員の幸せを実現することです。企業体質の強化を図り、BXグループをエクセレントカンパニーにしたいと考えています。
全国の拠点を訪問するとき、私は必ず2つの話をするようにしています。目の前の課題に主体性を持って取り組むこと、そして生き甲斐を持って働くことです。お客様のお困りごとを「自分ごと」とすることがお客様目線の“ことづくり”の実践につながり、課題解決の視野が広がることで新たな価値創造ストーリーが生まれるのだと思います。
小さな信頼がやがて大きな信頼へとつながるように、社会からの期待に誠実に応えながら、変化する時代に応じた新しい価値ある提案を発信し続け、社会からの信頼を糧に従業員が誇れる会社にしたいと考えています。
私が拠点を訪問する中でいつも感じるのは、コミュニケーションを大切にする社風です。「アットホームだ」と社外の方からご評価をいただくことがありますが、このような和を重んじる経営理念の具現化を長所として、次世代に継承しカルチャーとして育むこともまた、社長としての責任だと思っています。
お客様、お取引先様をはじめ、投資家の皆様、地域社会、協力会社の皆様にはこの報告書をご一読いただき、またグループ従業員においても同様に忌憚ないご意見、ご感想をお寄せいただければ幸いです。今後のBXグループの成長と発展にぜひご期待ください。